原子力発電 工程内帳簿在庫(RBI)の課題と展望
工程内帳簿在庫(流れる帳簿在庫とも言います)とは、原子力関連施設のような、特別な物質を扱う施設において、工程内にある物質の量を刻一刻と把握するための在庫管理の方法です。これは、施設に受け入れた量と施設から出した量を記録し、その差から工程内にある在庫量を推定するものです。この方法は、1950年代にアメリカのアイダホ化学処理施設で初めて使われました。その後、1960年代には原子力規制委員会(NRC)の要求に応える形で、ウエストバレイ再処理施設で本格的に使われるようになりました。従来の定期的な実地棚卸しとは異なり、工程内帳簿在庫は継続的な在庫管理を可能にします。そのため、物質の移動や変化を素早く把握できるという利点があります。これは、特別な物質の管理において、安全性を確保し、不正な利用を防ぐ上で非常に重要です。工程内帳簿在庫は、物質の量を常に監視することで、想定外の減少や増加を早期に発見し、迅速な対応を可能にします。例えば、ほんの少しの減少でもすぐに気づくことができるので、盗難や事故といった問題発生を未然に防ぐことができます。また、定期的な実地棚卸しと比べて、作業員の被ばくの危険性を減らすことができるという利点もあります。定期的な実地棚卸しでは、作業員が実際に物質のある場所に赴き、計測作業を行う必要がありました。工程内帳簿在庫では、記録に基づいて在庫量を把握するため、作業員の被ばく量を大幅に削減できます。このように、工程内帳簿在庫は、安全性向上と作業員の健康保護の両方に貢献する、重要な管理手法と言えるでしょう。
