
未来のエネルギー資源:メタンハイドレート
メタンハイドレートとは、低温そして高圧な環境で生まれる、氷のような物質です。まるでシャーベットのように、水の分子がメタンの分子を包み込んで固まった構造をしています。このメタンハイドレートは、見た目には氷と区別がつきにくいのですが、火を近づけると燃えるという不思議な性質を持っています。そのため、「燃える氷」という別名で呼ばれることもあります。
この不思議な氷は、水深500メートルよりも深い海底や、常に凍っている永久凍土層といった場所に存在しています。海底の場合、大陸プレートが沈み込む海溝付近に多く分布していると考えられています。また、永久凍土層の場合は、北極圏やアラスカ、シベリアといった極寒の地で発見されています。
メタンハイドレートの主成分であるメタンガスは、私たちが家庭で使っている都市ガスの主成分でもあります。つまり、メタンハイドレートは都市ガスとほぼ同じ成分でできていると言えるのです。このメタンハイドレートを特殊な方法で溶かすことで、メタンガスを取り出すことができます。取り出したメタンガスは、火力発電の燃料や都市ガスとして利用できるため、将来のエネルギー源として期待されています。
しかし、メタンハイドレートの開発には課題も残されています。例えば、メタンハイドレートが存在する深海や凍土から、どのように安全かつ効率的にメタンガスを取り出すかという技術的な問題です。また、メタンガスは二酸化炭素よりも温室効果が高い物質であるため、地球温暖化への影響も懸念されています。そのため、メタンハイドレートをエネルギー資源として利用するためには、環境への配慮も欠かせません。今後の技術開発や環境への影響評価が、メタンハイドレートの実用化に向けて重要な鍵となるでしょう。