食中毒

記事数:(4)

その他

カンピロバクター食中毒にご用心

カンピロバクターは、古くから牛や羊といった家畜に流産や腸の炎症といった症状を引き起こす細菌として知られていました。人に対して病気を引き起こすことは長い間知られていませんでしたが、1970年代に入り、この細菌が人にも腸炎を起こすことが明らかになりました。その後、1982年には食中毒の原因菌として正式に認められ、食品衛生法に基づく食中毒の記録にも追加されました。カンピロバクター属には、人に腸炎を引き起こす菌種としてカンピロバクター・ジェジュニとカンピロバクター・コリが知られています。しかし、実際に検査で見つかるのはほとんどがカンピロバクター・ジェジュニです。この細菌は、名前の由来であるギリシャ語の「カンピロ」(湾曲した)と「バクター」(棒)が示すように、曲がった螺旋状の形をしています。大きさはおよそ0.2~0.8マイクロメートル×0.5~5マイクロメートルです。顕微鏡で見ると、活発に動き回る様子が観察できます。カンピロバクターによる食中毒は、汚染された食品を食べることで感染します。特に、加熱が不十分な鶏肉や牛肉、殺菌されていない牛乳などが感染源となることが多いので注意が必要です。鶏肉は内臓にカンピロバクターが多く存在するため、処理の過程で肉が汚染される可能性が高い食品です。牛肉は鶏肉ほどではありませんが、同様に感染源となることがあります。また、殺菌されていない牛乳や、汚染された井戸水なども感染源となります。さらに、ペットや野生動物からも感染する可能性があるため、動物との接触後や調理器具の衛生管理には十分気を配る必要があります。カンピロバクターは少量の菌数でも感染する可能性があるため、注意が必要です。
その他

食中毒を防ぐ!サルモネラ菌の話

サルモネラ菌は、私たちの消化管に常在する細菌の仲間であり、食中毒の原因菌として広く知られています。現在までに約2200種類ものサルモネラ菌が発見されていますが、食中毒を引き起こすのはそのうちのごく一部、約100種類程度です。サルモネラ菌は、食べ物や飲み物などを介して口から入り込み、感染します。サルモネラ菌による食中毒は、世界中で発生しています。特に夏場に多発する傾向が見られます。これは、サルモネラ菌が30℃から40℃くらいの温度で活発に増殖するためです。気温が高い時期は食品が傷みやすく、サルモネラ菌が増殖しやすい環境が整ってしまうため、食中毒のリスクが高まります。サルモネラ菌による食中毒の症状は、下痢、腹痛、発熱、嘔吐などです。通常、これらの症状は感染から6時間から72時間後に現れ、数日間続きます。ほとんどの場合は、特別な治療を必要とせず自然に回復しますが、乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人などは重症化する可能性もあるため注意が必要です。サルモネラ菌は、鶏肉、豚肉、牛肉、卵などの畜産物をはじめ、野菜や果物など、様々な食品に付着する可能性があります。また、ペット、特に爬虫類や両生類もサルモネラ菌を保有している場合があり、接触後に手を洗わずに食品を扱うと、食品が汚染される可能性があります。サルモネラ菌による食中毒を予防するためには、食品の衛生管理が重要です。食品を調理する前には、石鹸を使って丁寧に手を洗いましょう。肉や魚などの生鮮食品は、十分に加熱調理し、中心部まで火を通すようにしましょう。また、生肉や魚を扱った調理器具は、他の食品に使う前にしっかりと洗浄・消毒することが大切です。冷蔵庫に食品を保存する際は、適切な温度管理を行い、生鮮食品と調理済み食品を分けて保管することで、二次汚染を防ぐことができます。これらの対策をしっかりと行うことで、サルモネラ菌による食中毒のリスクを低減することができます。
その他

低温細菌エルシニアと食中毒

エルシニアは、低温環境でも増殖できるという、他の多くの細菌とは異なる特徴を持っています。冷蔵庫のような低温環境でも増殖できるため、食品を冷蔵庫で保存していても、エルシニアによる汚染を防ぐことは難しい場合があります。このため、食品衛生管理において、エルシニアへの対策は特に重要です。エルシニア属には様々な種類が存在しますが、私たちが食品を通して感染し、食中毒を引き起こす主なものはエルシニア・エンテロコリチカです。エルシニア・エンテロコリチカによる食中毒は、腹痛、下痢、発熱などの症状を引き起こし、特に幼児や高齢者は重症化しやすい傾向があります。また、まれに、関節炎などの合併症を引き起こすこともありますので、注意が必要です。エルシニア属の中には、エルシニア・エンテロコリチカ以外にも、様々な種類の細菌が存在します。例えば、偽結核菌は、結核に似た症状を引き起こす細菌ですが、結核菌とは異なる種類の細菌です。また、ペスト菌もエルシニア属に分類されますが、これはペストという深刻な感染症を引き起こす細菌です。これらのように、エルシニア属には様々な細菌が含まれていますが、食中毒の原因となるのは主にエルシニア・エンテロコリチカです。エルシニア・エンテロコリチカは、1972年に日本で初めて発見されました。世界的には、米国で1939年に、欧州では1949年に発見されており、日本での発見はそれらに比べてやや遅かったと言えるでしょう。日本では、1980年代にエルシニア・エンテロコリチカによる食中毒の集団発生が相次ぎ、社会問題となりました。その後、1983年に食中毒菌に指定され、その危険性が広く認識されるようになり、予防対策の徹底が図られるようになりました。現在では、食品衛生管理の向上により、エルシニア・エンテロコリチカによる食中毒の発生件数は減少傾向にあります。
その他

冷蔵庫にも潜む危険な菌

リステリア菌は、自然界のどこにでもいる細菌です。土や川、排水溝、草木といった自然環境だけでなく、私たちが口にする肉や昆虫からも見つかっています。私たちの身近な環境に広く分布しているため、日常生活の中でリステリア菌に触れる機会は非常に多く、注意が必要です。しかし、どこにでもいるからといって、すべてのリステリア菌が私たちに害を及ぼすわけではありません。リステリア菌には様々な種類があり、中には病気を引き起こさない種類もあると考えられています。この点については、現在も研究が進められています。私たちが感染症を予防するためには、リステリア菌がどこにでも存在する可能性を常に意識し、適切な衛生管理を心掛けることが重要です。食品を適切に加熱したり、適切な方法で保管したり、こまめに手を洗うなど、日常生活の中でできることから対策を始めましょう。特に、免疫力が低い乳幼児や高齢者、妊娠中の方は感染のリスクが高いため、より注意が必要です。妊娠中の感染は、流産や早産、胎児への感染といった深刻な事態を引き起こす可能性があります。また、高齢者や免疫力が低下している方は、髄膜炎や敗血症といった重篤な症状を引き起こす可能性があります。普段から食品の安全に気を配り、生ものを扱う際は特に注意を払い、調理器具や手を清潔に保つことが大切です。冷蔵庫の温度管理も適切に行いましょう。少しでも体調に異変を感じたら、すぐに医師に相談することが大切です。