大気

記事数:(4)

再生エネルギーと環境負荷

放射冷却:宇宙への熱移動

全ての物は、熱を電磁波という形で常に空間に放出しています。これを放射といいます。この放射によって物の温度が下がる現象を放射冷却といいます。例えば、太陽の光で温まった地面や建物、私たち自身も、常に熱を電磁波として宇宙空間に放出しているのです。日中は、太陽からの熱が地球に届くため、放射冷却で熱が逃げる量よりも、太陽から受け取る熱の量の方が多くなります。そのため、気温は上昇します。しかし、夜になると太陽からの熱が届かなくなり、地球からは電磁波として熱が逃げ続けます。このため、夜間には放射冷却の影響が大きくなり、地面や空気の温度が下がっていくのです。特に、空に雲がない晴れた夜は、電磁波が宇宙空間に逃げやすいため、放射冷却の効果がより顕著になります。逆に、雲があると、雲が電磁波を吸収し、再び地球に向けて放射するため、放射冷却の効果は弱まります。まるで雲が布団のように地球を覆い、熱が逃げるのを防いでいるかのようです。放射冷却は、冬によく見られる霜の発生に大きく関わっています。晴れて風の弱い夜には、放射冷却によって地面の温度が氷点下まで下がることがあります。すると、空気中の水蒸気が地面に触れて凍り、霜となります。また、放射冷却は、盆地のような周囲を山に囲まれた場所で特に顕著に起こります。これは、冷えた空気が山に遮られて盆地に溜まりやすいためです。このような場所で、夜間に気温が大きく下がるのは、放射冷却の影響が大きいからです。放射冷却は、地球の気温を調節する上で重要な役割を果たしています。地球全体の温度が上がりすぎたり、下がりすぎたりしないように、放射冷却は自然界の温度調節機能の一つとして働いているのです。
SDGs

気候変動の謎を解き明かす国際研究

地球の気候は常に変化しており、その変動の仕組みを理解し、将来を予測することは、私たちの社会にとって非常に大切です。世界気候研究計画(WCRP)の一環として1995年にスタートした気候変動性・予測可能性研究計画(CLIVAR)は、まさにこの重要な課題に取り組む国際的な研究計画です。CLIVARの大きな目標は、気候変動の仕組みを解き明かし、近い将来の気候を予測すること、そして人間の活動が気候システムにどのような影響を与えるかを評価することです。この計画は、過去の熱帯海洋・全球大気計画(TOGA)や世界海洋循環実験計画(WOCE)といった大規模な研究で得られた成果と経験を土台に、より高度な研究を目指しています。CLIVARでは、海、大気、陸、氷床などを組み合わせた気候モデルを開発し、過去の気候の記録や最新の観測データと照らし合わせながら、気候変動の仕組みを調べています。また、人間の活動が気候に与える影響についても詳しく調べています。気候変動の予測は、季節の変動から数十年、数百年といった幅広い期間で行われています。地球温暖化の原因となる温室効果ガスや、大気中の小さな粒子であるエアロゾルの増加が気候システムに及ぼす影響についても、その仕組みの解明と将来予測に取り組んでいます。CLIVARの研究は、地球規模で進む気候変動への対策を考える上で非常に重要です。気候変動のメカニズムを理解し、将来の気候を予測することで、より効果的な対策を立てることができるからです。この研究の成果は、私たちの社会が気候変動に適応し、持続可能な社会を築いていく上で、欠かすことのできないものとなるでしょう。
SDGs

大気大循環モデル:地球の未来予測

大気大循環モデル(略して大循環モデル)とは、地球を取り巻く空気の流れ、つまり大気の循環を、コンピュータの中で再現する数式を使った模型のことです。地球全体の空気を、流れる性質を持つ巨大な塊として捉え、その動きを物理の法則に基づいて計算します。このモデルは、複雑な数式を解くことで、気温や気圧、風の速さ、雨や雪の量など、様々な気象の変化を予測することができます。まるで地球の大気を、コンピュータの中に再現した、仮想の地球とも言えるでしょう。この仮想地球では、現実世界では行えない様々な実験を行うことができます。例えば、大気中の二酸化炭素濃度を変化させることで、将来の気候変動がどのように進むかを予測することが可能です。また、過去の気候を再現することで、現在の気候変動が自然現象によるものなのか、それとも人間の活動によるものなのかを検証することもできます。大循環モデルは、多数の格子状の箱に分割された地球を表現しています。それぞれの箱の中で、気温、気圧、風速、湿度などの物理量が計算されます。そして、隣り合う箱の間での熱や水蒸気の移動、更には地球の自転や地表面との摩擦、太陽からの熱の吸収といった様々な要素が計算に組み込まれます。このように、大気大循環モデルは非常に複雑な計算を必要とするため、スーパーコンピュータを使って計算されます。大循環モデルは完璧ではありません。モデルの精度を上げるためには、より細かい格子を使う、より現実に近い物理過程を組み込むなど、更なる改良が必要です。しかし、大循環モデルは、複雑な地球の気候システムを理解し、将来の気候変動を予測するための、強力な道具となっています。
SDGs

気候予測の要:大気海洋結合大循環モデル

地球温暖化をはじめとする気候変動は、私たちの社会に大きな影響を与えるため、将来の気候を予測することは大変重要です。その予測において中心的な役割を担うのが、大気海洋結合大循環モデルです。これは、文字通り地球全体を計算機の中に再現し、未来の気候を予測しようとする壮大な試みです。初期の気候モデルは、計算機の性能の限界から、大気や海洋の動きを単純に表現していました。例えば、大気の流れや海水温の変化を、大まかな格子状の領域に分けて計算していました。しかし、このような単純化は現実の気候の複雑さを十分に捉えきれていませんでした。計算機技術の進歩に伴い、大気海洋結合大循環モデルは飛躍的に進化しました。以前は単純化されていた大気や海洋の動きを、より細かく、より現実に近い形で表現できるようになりました。例えば、雲の生成過程や海流の動き、陸地における植生の変化など、様々な要素がモデルに組み込まれています。また、大気と海洋の相互作用も詳細に再現できるようになり、より正確な気候予測が可能になってきています。大気と海洋は互いに影響を及ぼしあっています。例えば、海洋は大量の熱を吸収し、大気の流れに影響を与えます。逆に、大気の流れは海流や海水温に影響を与えます。大気海洋結合大循環モデルは、このような複雑な相互作用を考慮することで、より現実に近い気候の再現を可能にしています。近年の気候モデルは、地球温暖化の将来予測だけでなく、極端な気象現象の発生頻度や地域の気候変動予測にも活用されています。さらに、温室効果ガスの排出削減策の効果を評価するためにも、これらのモデルは欠かせないツールとなっています。気候モデルの進化は、私たちが気候変動の課題に立ち向かう上で、重要な役割を果たしていると言えるでしょう。