蓄電 氷でつくる涼しさ:地球に優しい空調
氷蓄熱とは、夜間の比較的電力需要が少ない時間帯に氷を作り、それを電力需要のピークとなる昼間に冷房に利用するシステムのことです。電力消費のピークシフトと省エネルギー化を実現する、環境に優しい技術として注目を集めています。このシステムでは、一般的に「クリスタルリキッドアイス」と呼ばれるシャーベット状の氷が用いられます。水に特殊な添加物を加えることで、0度以下でも凍らない過冷却状態を作り出し、必要な時に凍らせることで効率よく氷を生成できるのです。夜間電力を使ってこの氷を生成し、断熱材で覆われたタンクに貯蔵します。このタンクは、まるで大きな魔法瓶のように、氷の冷たさを長時間保つことができるのです。そして、電力需要が高まる昼間になると、この貯蔵しておいた氷が活躍します。氷は溶ける際に周囲の熱を吸収するという性質を持っています。氷蓄熱システムはこの性質を利用し、タンク内の氷を溶かすことによって冷水を作り、その冷水で建物を冷房するのです。外部の気温に左右されず安定した冷房能力を維持できる点が大きなメリットと言えるでしょう。電力消費のピーク時にエアコンの使用を抑制できるため、電力系統の安定化にも貢献します。さらに、氷蓄熱システムは地球温暖化対策としても有効です。夜間の電力消費を増加させることで、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの余剰電力を有効活用できる可能性を高めます。また、ピーク時の電力需要を抑制することで、火力発電所の稼働を減らし、二酸化炭素排出量の削減にもつながります。このように、氷蓄熱システムは、省エネルギー化、ピークカット、再生可能エネルギーの活用促進など、様々なメリットを持つ、次世代の空調システムと言えるでしょう。
