原子力発電 トリウム:未来のエネルギー源?
トリウムは原子番号90番の元素で、記号はThと表されます。アクチノイドと呼ばれる元素の仲間で、ウランやプルトニウムと同じグループに属します。地球上に存在するトリウムは、ほぼ全てがトリウム232という種類です。これは放射性元素の一種ですが、ウラン235と比べると放射能は弱く、人体への影響は少ないと考えられています。また、トリウム232は非常に長い半減期を持つことでも知られています。半減期とは、放射性物質が元の量の半分になるまでの時間で、トリウム232の場合はおよそ140億年にもなります。これは宇宙の年齢の約1.4倍という、気が遠くなるような長さです。トリウム自体は核燃料としてそのまま使うことはできません。しかし、トリウムに中性子を当てると、ウラン233という核燃料に変化します。ウラン233は核分裂を起こすことができ、原子力発電で利用することができます。つまり、トリウムは核燃料を生み出すことができる、言わば核燃料の原料のような物質と言えるでしょう。トリウム燃料サイクルでは、トリウム232に中性子を照射してウラン233を生成し、これを核燃料として利用します。この過程で発生する核廃棄物の量はウラン燃料サイクルと比べて少なく、またプルトニウムのような核兵器の原料となる物質もほとんど生成されないため、より安全な原子力発電を実現できる可能性を秘めています。将来のエネルギー資源として期待されており、研究開発が進められています。
