ビルまるごと省エネ！BEMSのスゴ技

ビルまるごと省エネ！BEMSのスゴ技

はじまり

近ごろ、エネルギーをかしこく使うことは、会社や家庭だけでなく、社会全体で取り組むべき大切な課題となっています。地球の気温上昇やエネルギー資源の減りゆく問題を解決するため、様々なエネルギーを節約する技術が生み出されています。数ある技術の中でも、建物全体のエネルギーの使い方を最適化する技術として、注目を集めているのが建物エネルギー管理システム（略称ＢＥＭＳ）です。

ＢＥＭＳとは、事務所ビルや工場、あるいは家庭といった建物で、エネルギーがどのように使われているかを監視し、調べ、調整することで、エネルギーを無駄なく使うことを助ける仕組みです。具体的には、電気、ガス、水道といったものの使用量を、刻々と計測します。そして、冷暖房、照明、空気の入れ替えといった設備機器を自動で調整することで、エネルギーの無駄をなくし、費用を減らす効果があります。

例えば、人の出入りに合わせて照明を自動で点けたり消したり、外の気温に合わせて冷暖房の温度を調整したりすることで、人が意識しなくてもエネルギーの節約が可能になります。さらに、過去のデータをもとにして、これからのエネルギー使用量を予想し、最適な運転計画を立てることもできます。これにより、無駄なエネルギー消費を抑え、より効率的な運用を実現できます。

ＢＥＭＳは、建物の種類や規模に関わらず導入できます。小さな家から大きな工場まで、それぞれの建物の特徴に合わせてシステムを調整することで、効果的にエネルギーを管理できます。ＢＥＭＳを導入することで、エネルギーの使い方を見える化し、省エネルギー意識の向上にもつながります。地球環境を守るためにも、ＢＥＭＳを活用したエネルギー管理は、今後ますます重要になっていくでしょう。

仕組み

建物全体のエネルギー消費を最適化するために、建物エネルギー管理システム（ＢＥＭＳ）は様々な機器や仕組みを組み合わせたシステムです。まず、建物の隅々に設置されたセンサーが、電気やガス、水道といったエネルギーの使用状況を細かく計測します。同時に、部屋の温度や湿度、明るさといった快適さを左右する環境データも収集します。これらのデータは、まるで神経のように張り巡らされたネットワークを通じて中央管理装置に集められます。中央管理装置は、集められた膨大なデータを分析し、建物全体のエネルギー消費状況を把握します。

中央管理装置は司令塔の役割を果たし、分析結果に基づいてエアコンや照明、換気設備といった機器を自動で制御します。例えば、会議室の温度が設定値よりも高くなった場合、中央管理装置はエアコンを自動で運転させ、快適な温度になるように調整します。設定温度に到達すると、無駄なエネルギー消費を抑えるためにエアコンを停止させます。また、人がいない部屋の照明を自動で消灯するなど、きめ細かな制御によって省エネルギー化を図ります。

ＢＥＭＳは、太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギー設備とも連携できます。太陽光発電で作った電気を効率的に利用したり、蓄電池に電気を貯めて夜間に使用したりすることで、より効果的なエネルギー管理を実現します。さらに、インターネットを通じてデータをやり取りするクラウドコンピューティング技術を活用することで、複数の建物のエネルギーを一括管理することも可能です。これにより、地域全体での最適なエネルギー運用を実現し、さらなる省エネルギー化に貢献します。

種類

建物エネルギー管理システム（ＢＥＭＳ）には、建物の大きさや使い方、導入の目標などによって、様々な種類があります。自分に合ったシステムを選ぶことが大切です。

比較的小さな建物、例えば事務所などに向いているのは、パッケージ型と呼ばれるＢＥＭＳです。値段も安く、導入しやすいのが特徴です。あらかじめ機能が決まっているため、手軽に導入できます。一方、大きな工場やお店などでは、システム構築型のＢＥＭＳがおすすめです。自由に機能を組み合わせられるので、それぞれの建物に合わせたきめ細やかな管理ができます。ただし、パッケージ型に比べて導入費用は高くなります。

近年注目されているのが、インターネットを通して利用するクラウド型のＢＥＭＳです。初期費用を抑えつつ、高度な機能を使えるという利点があります。また、常に最新の技術が反映されるため、システムの更新作業なども必要ありません。

さらに、人工知能を使ったＢＥＭＳも開発されています。これにより、従来のＢＥＭＳでは難しかった、天気や人の出入りといった外部の情報も踏まえた、より高度な分析や予測、制御が可能になります。例えば、天気が良い日は太陽光発電の発電量が多くなることを予測し、建物の電力消費を調整することで、省エネルギー化を図ることができます。人工知能は、今後ますますＢＥＭＳの進化に貢献していくでしょう。

導入のメリット

{建物エネルギー管理システム（ＢＥＭＳ）を導入することで、たくさんの良いことがあります。}まず、エネルギーを使う量を減らすことで、お金を節約できます。無駄な電気やガス、水道の使用を抑えれば、光熱費を大幅に下げることが可能です。例えば、使っていない部屋の照明を自動で消したり、空調の温度を最適に調整したりすることで、無駄なエネルギー消費を防ぎます。

二酸化炭素の排出量も減り、環境への負担を軽くすることに繋がります。地球温暖化は、私たちの生活に様々な影響を及ぼします。ＢＥＭＳを導入することで、二酸化炭素の排出量を減らし、地球環境を守ることに貢献できます。

ＢＥＭＳは、建物の設備機器の状態を常に監視しているので、故障や異常を早く見つけることができます。例えば、エアコンの調子が悪い時、すぐに気づくことで修理費用を抑えたり、大きな故障を防ぐことができます。これは、設備の寿命を延ばすことにも繋がります。

ＢＥＭＳは建物の快適さを高める効果もあります。例えば、部屋の温度や湿度、明るさを自動で調整することで、快適な職場環境や住まい環境を作ることができます。夏は涼しく、冬は暖かく、過ごしやすい環境を保つことができます。

エネルギーの使用状況を目に見えるようにすることで、そこで働く人たちの省エネルギーへの意識を高める効果も期待できます。どのくらい電気を使っているのかが分かれば、自然と電気をこまめに消すようになるなど、省エネルギー行動を促すことに繋がります。このように、ＢＥＭＳは、お金の節約、環境保護、建物の快適性向上、省エネルギー意識の向上など、様々な効果をもたらします。

今後の展望

建物エネルギー管理システム（ＢＥＭＳ）は、これからますます発展していくと見られています。様々な技術の進歩により、これまで以上に高度な働きが実現するでしょう。

例えば、インターネットを通じて様々な機器を繋ぐ技術や人工知能を活用することで、建物の利用状況や天気といった情報を即時に分析し、より正確なエネルギー需要予測を行うことが可能になります。これまで以上にき細かな制御を行うことで、無駄を省く効果が期待されます。

太陽光発電や風力発電といった自然エネルギーや、電気をためておく装置との連携も強化され、より効率的なエネルギーの運用が可能になるでしょう。余った電気をためて必要な時に使う、あるいは自然エネルギーを効率的に活用するなど、賢くエネルギーを使う仕組みが整います。

ＢＥＭＳは、環境に優しい街づくりにおいても重要な役割を担うと期待されています。街全体のエネルギー消費を最適化することで、限りある資源を大切に使い、環境を守る社会の実現に貢献するでしょう。

ＢＥＭＳをもっと普及させるためには、国や地方自治体による支援制度の活用や、導入を支援する事業の充実も重要です。導入にかかる費用への補助や、専門家によるアドバイスといった支援体制が整えば、導入のハードルは下がります。より多くの建物にＢＥＭＳが導入されることで、大きな省エネルギー効果が期待され、地球環境保全にも繋がります。