組織・期間 フランス電力会社EDF:原子力と自由化の歩み
{1946年、フランスは電気・ガス事業国有化法を制定し、エネルギー供給における公益性の確保を強く打ち出しました。この法律に基づき、それまで各地に分散していた民間企業の電力事業を統合し、発電から送電、配電に至るまでを一貫して担う巨大国有企業としてフランス電力公社(EDF)が誕生しました。これは、第二次世界大戦後の疲弊したフランス経済を復興させる上で、安定したエネルギー供給が不可欠であるという認識に基づくものでした。当時のフランスは、電力生産の大部分を石炭火力発電に頼っていました。一部では水力発電も利用されていましたが、その割合は限定的でした。また、石油火力発電も導入され始めていましたが、まだ主要な電源とはなっていませんでした。つまり、フランスの電力供給は化石燃料への依存度が高く、エネルギー安全保障の観点から脆弱性を抱えていました。EDFの設立は、こうした状況を改善し、全国民に安価で安定した電力を供給することを目指した国家戦略の一環でした。国有化によって、効率的な設備投資や技術開発が可能となり、電力網の整備も迅速に進められました。さらに、公益事業としての性格を明確化することで、地域間の電力供給の格差是正にも貢献しました。地方の僻地にも電気が届くようになり、人々の生活水準向上に大きく寄与したのです。しかし、化石燃料への依存は依然として課題として残りました。エネルギー源の多角化は、将来的な課題として認識され始め、原子力発電の開発研究が本格化していく契機の一つともなりました。
