
遺伝子の神秘:DNAの役割
生き物の体を作る設計図、それがデオキシリボ核酸、略してDNAです。名前は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。DNAは、親から子へ、命の情報を伝える大切な物質です。私たちの体を作る設計図とも言えます。目や髪の色、背の高さ、体質など、親から受け継ぐ特徴は全てこのDNAに書き込まれているのです。例えるなら、体を作るための、非常に精密な説明書のようなものです。この説明書には、様々な部品の作り方や、それらを組み立てる手順が細かく記されています。DNAも同様に、体のあらゆる部分を作るための情報が、暗号のような形で保存されています。DNAは、細胞の一つ一つの中に、折りたたまれた状態で存在しています。細胞は体を作る最小単位で、例えるならレンガのようなものです。その一つ一つの中に、設計図全体のコピーが入っているのです。とても小さく、肉眼では見えませんが、顕微鏡を使うと、糸のように細いDNAが、まるで絡まった毛糸玉のように見ることができます。必要な情報が読み取られることで、私たちの体が作られ、生命活動が維持されているのです。設計図の一部が読み取られると、それに基づいてタンパク質と呼ばれる物質が作られます。タンパク質は体の組織を作ったり、酵素として体内の化学反応を助けたりと、様々な働きをしています。DNAの情報が正しく読み取られ、タンパク質が正しく作られることで、私たちは健康な体を維持できるのです。まさに、DNAは生き物の根幹を支える重要な物質と言えるでしょう。