重水炉

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原子力発電

重水ダンプ系の役割と仕組み

原子力発電所では、人々の安全を守るため、幾重にも安全対策が施されています。特に、重水を減速材として利用する重水炉という形式の発電所では、重水ダンプ系と呼ばれる安全装置が重要な役割を担っています。重水ダンプ系は、原子炉の緊急停止システムの一つです。原子炉の運転中、もしもの事態が発生した場合、この装置が作動することで原子炉を速やかに停止させることができます。これは、制御棒による通常の停止機構が何らかの理由で機能しない場合でも、炉を安全に停止させるための最後の砦と言えるでしょう。原子炉の炉心冷却系に問題が生じた際など、炉心の温度が異常に上昇する可能性があります。このような状況下では、核燃料の損傷や、最悪の場合、放射性物質の外部への漏洩といった深刻な事故につながる恐れがあります。重水ダンプ系は、まさにこのような事態を未然に防ぐために存在します。この装置は、原子炉内の重水を瞬時に排出する仕組みになっています。重水は、原子炉内で発生する中性子の速度を落とす役割を担っており、核分裂反応の制御に欠かせません。重水を排出することで中性子の速度が維持できなくなり、連鎖反応が抑制され、原子炉の出力は急速に低下します。これにより、炉心の温度上昇を抑え、重大事故を回避することが可能になります。このように、重水ダンプ系は、重水炉の安全性を確保する上で必要不可欠な装置であり、原子力発電所の安全運転に大きく貢献しています。多層的な安全対策の一つとして、重水ダンプ系の存在は、原子力発電所の安全性をより確かなものにしています。
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カナダ型重水炉:特徴と仕組み

原子力発電所では、原子核の分裂反応で発生する莫大な熱を利用して電気を作っています。様々な種類の原子炉がありますが、中でもカナダで独自に開発され、実用化された原子炉に、カナダ型重水炉、通称CANDU炉というものがあります。この炉は、他の原子炉とは一線を画す独特な仕組みを持っています。それでは、このCANDU炉の仕組みや特徴について詳しく見ていきましょう。まず、CANDU炉最大の特徴は、減速材として重水を使用していることです。減速材とは、核分裂反応で発生した高速中性子の速度を落とす役割を担う物質です。一般的な原子炉では、軽水と呼ばれる普通の水が減速材として用いられますが、CANDU炉は重水を使用しています。重水は、普通の水の水素原子を重水素という少し重い水素原子に置き換えたものです。重水を使うことで、天然ウランを燃料として使用することが可能になります。これは、ウラン濃縮というコストのかかる工程を省くことができるという大きな利点です。濃縮ウランの製造には高度な技術と設備が必要となるため、天然ウランを使用できることは、核拡散防止の観点からも重要です。さらに、CANDU炉は圧力管型原子炉と呼ばれる種類に分類されます。これは、燃料集合体が格納されている圧力管と呼ばれる管と、減速材である重水が入った原子炉容器(カロンドリア)が分離されている構造を持つことを意味します。この構造により、原子炉を停止することなく燃料交換が可能となります。つまり、発電を続けながら燃料の補給ができるため、高い稼働率を維持できるのです。このように、CANDU炉は、重水と天然ウランを使用し、圧力管型を採用するという独自の設計思想に基づいて開発されました。これらの特徴により、CANDU炉は、ウラン資源の有効利用や高い稼働率といった利点を持つ原子炉となっています。この解説を通して、CANDU炉への理解が少しでも深まれば幸いです。
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カランドリアタンク:重水炉の心臓部

カランドリアタンクは、重水減速炉という種類の原子炉で使われる重要な部品です。この原子炉では、普通の水よりも少し重い重水と呼ばれる特殊な水が減速材として使われます。減速材とは、ウランの核分裂反応で発生する中性子の速度を落とす役割を持つ物質です。中性子は原子核を構成する粒子のひとつで、核分裂反応で発生した高速中性子はウランにうまくぶつかりにくいため、核分裂の連鎖反応を維持するには中性子の速度を適切に落とす必要があります。この減速材として重水を使う原子炉で、カランドリアタンクは重水を貯めておく容器として重要な役割を担っています。カランドリアタンクは、原子炉の炉心に設置されます。炉心には核燃料であるウランが入った圧力管と呼ばれる多数の管が束になって並んでおり、この圧力管の束をカランドリアタンクが包み込む構造となっています。圧力管の中には核分裂反応を起こさせるためのウラン燃料と冷却材が入っており、カランドリアタンク内の重水は圧力管の外側を取り囲むことで、圧力管の中の中性子の速度を落とすと同時に、原子炉から発生する熱を吸収する役割も果たします。カランドリアタンクの名前の由来は、蒸発缶という装置で使われる多岐管型の加熱管群であるカランドリアと形状が似ていることにあります。一見すると複雑な構造に見えますが、その役割はシンプルで、重水を安全に保管し、炉心の冷却と中性子の減速を助けることにあります。カランドリアタンクは原子炉の安全な運転に欠かせない重要な部品であり、高度な技術を用いて製造、維持管理されています。
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カランドリア管:原子炉の心臓部

カランドリア管とは、新型転換炉という種類の原子炉で使われる、核分裂反応の制御に欠かせない重要な部品です。新型転換炉は、減速材として重水を用いる圧力管型原子炉に分類されます。この原子炉の中心部、炉心には、カランドリアタンクと呼ばれる、練炭のような円柱状の容器が置かれています。このタンクは鋼鉄製で二重構造になっており、堅牢な作りとなっています。このカランドリアタンクの中に、多数の管が垂直に並べて設置されているのですが、この管こそがカランドリア管です。カランドリア管は、原子炉内で発生する莫大な熱と圧力に耐えられるように設計されています。それぞれのカランドリア管は、さらに別の管である圧力管を包み込む二重管構造となっています。内側の圧力管には核燃料が収納され、外側のカランドリア管との間には隙間があります。この隙間に重水が満たされており、核分裂反応で発生した高速中性子を減速させる役割を果たします。中性子を適切な速度に減速させることで、ウラン燃料との核分裂反応の効率を高め、安定した連鎖反応を維持することができるのです。カランドリア管は、高純度のジルコニウム合金で作られています。ジルコニウムは中性子をあまり吸収しない性質を持っているため、核分裂の連鎖反応を阻害することなく、効率的な運転を可能にします。また、ジルコニウムは高温高圧の環境下でも優れた耐食性を示すため、原子炉のような過酷な条件下でも長期間安定して使用することができます。このように、カランドリア管は原子炉の安全かつ安定な運転に不可欠な、高度な技術を結集した重要な部品と言えるでしょう。
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プルトニウム生産炉:平和利用と核拡散のジレンマ

プルトニウム生産炉とは、プルトニウムを作ることを主な目的とした原子炉のことです。プルトニウムは核兵器の材料となるため、軍事利用の側面が強く懸念されています。プルトニウム生産炉は、冷戦時代、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアといった核兵器を持つ国々が、核兵器開発競争の中で盛んに建設、運転していました。これらの国々は、核兵器を増やすために、プルトニウムを大量に必要としていました。当時、プルトニウム生産炉の多くは、黒鉛を減速材に、普通の水を冷却材に使う形式で、天然ウランや少しだけ濃縮したウランを燃料としていました。原子炉の中で核分裂反応が起きると、プルトニウムが生まれます。そして、使い終わった核燃料を再処理工場で化学的に処理することで、プルトニウムを取り出します。ハンフォード、ウィンズケール、マルクール、チェリャビンスクといった地名は、かつてプルトニウム生産炉が稼働していた場所として知られています。これらの地域では、黒鉛を減速材に空気を冷却材に使う形式や、重水を減速材と冷却材に使う特殊な形式の原子炉も存在しました。これらの原子炉は、プルトニウム生産という目的のために設計、建設されたものでした。冷戦終結後、多くのプルトニウム生産炉は停止されましたが、現在も中国では稼働しているプルトニウム生産炉があるとされています。プルトニウム生産炉の存在は、核不拡散の観点から国際的な懸念材料となっています。プルトニウム生産炉の運転状況やプルトニウムの保有量については、透明性の確保と国際的な監視体制の強化が求められています。
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ふげん:新型転換炉の軌跡

福井県敦賀市に位置した新型転換炉「ふげん」は、動力炉・核燃料開発事業団(現在の日本原子力研究開発機構)が建設した、新型転換炉(ATR)の原型炉です。この炉は、特殊な「重水減速沸騰軽水冷却型」という方式を採用していました。これは、原子炉の核分裂反応を制御するために重水を使い、発生した熱を軽水で冷やすという、当時としては先進的な技術でした。「ふげん」の発電量は165メガワットで、家庭の電灯を数十万世帯分点灯できるだけの電力を供給できました。ちなみに、熱出力は557メガワットに達しました。熱出力とは原子炉で発生する熱エネルギーの総量で、発電に使えるのはその一部です。残りの熱は、冷却水によって運び去られます。「ふげん」の大きな特徴の一つは、燃料に低濃縮ウランだけでなく、プルトニウム混合酸化物も使用できることです。プルトニウムはウラン燃料が核分裂する際に発生する物質で、再び燃料として利用できます。「ふげん」は、このプルトニウム利用技術を確立することで、ウラン資源の有効活用と核燃料サイクルの実現を目指しました。ウランは地球上に限られた量しか存在しない資源です。プルトニウムを再利用する核燃料サイクルは、限られたウラン資源を有効に活用し、将来のエネルギー問題解決に貢献できる技術として期待されていました。このように、「ふげん」は将来のエネルギー戦略にとって重要な課題に挑戦するための、先進的で重要な役割を担っていました。そのユニークな技術的特徴から、日本国内だけでなく、世界各国からも注目を集めました。しかし、運転開始から約25年後の2003年に、役目を終え、廃止措置に移行しました。現在も敦賀市で解体作業が進められています。
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CANDU炉:重水を使う原子炉

CANDU炉は、カナダで独自に開発され、実用化された原子力発電炉です。CANDUとは、CANadian Deuterium Uraniumの頭文字から来ており、その名前の通り、カナダの重水素とウラン技術の結晶と言えるでしょう。この炉の最大の特徴は、減速材と冷却材に重水を使用している点にあります。重水とは、普通の水とは異なり、水素原子よりも重い重水素原子を含む水のことです。この重水を用いることで、天然ウランを燃料として使用することが可能になります。これは、現在主流となっている軽水炉とは大きく異なる点です。軽水炉では、ウラン235の濃縮が必要不可欠です。ウラン235は核分裂を起こしやすい性質を持つ一方で、天然ウラン中にはわずか0.7%しか含まれていません。残りの大部分は核分裂を起こしにくいウラン238です。そのため、軽水炉ではウラン235の割合を高める濃縮作業が必要となるのです。しかし、CANDU炉は重水を使うことで、この濃縮作業を必要としません。天然ウランをそのまま燃料として使えるため、ウラン濃縮にかかる費用や手間を省くことができ、燃料調達のコストを抑えることができるのです。さらに、CANDU炉は運転中に燃料を交換できるという、オンライン給排料と呼ばれる大きな利点も持っています。軽水炉では、定期的に原子炉を停止して燃料交換を行う必要がありますが、CANDU炉は運転を継続したまま燃料交換が可能です。これにより、発電所の稼働率を高め、安定した電力供給を実現することができます。また、燃料の利用効率も向上するため、資源の有効活用にも繋がります。このように、CANDU炉は独自の技術により、効率的で持続可能な原子力発電を実現していると言えるでしょう。
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進化する原子力発電:ACR-700の展望

新型原子炉ACR-700は、カナダ原子力公社が開発した、改良型のカナダ型重水炉です。カナダ型重水炉とは、減速材として重水を用いる原子炉のことを指します。このACR-700は、従来のカナダ型重水炉の技術を土台として、安全性と効率性をより一層高めることを目指して開発されました。この原子炉は、700メガワット級の発電能力を有しており、二つの蒸気発生器と四つの熱変換ポンプを備えています。蒸気発生器は、原子炉内で発生した熱を水に伝え、蒸気を発生させる装置です。発生した蒸気はタービンを回し、電気を生み出します。熱変換ポンプは、原子炉内の熱を効率的に運ぶ重要な役割を担っています。原子炉内で発生した熱を無駄なく利用するために、熱変換ポンプは最適な場所に熱を運びます。これらの装置の働きによって、ACR-700は高い発電効率を実現しています。さらに、ACR-700は、従来のカナダ型重水炉と同様に、濃縮度の低いウラン燃料を使用できるという特徴があります。ウラン燃料の濃縮には費用がかかるため、濃縮度の低い燃料を使用できることは、燃料サイクルにおける費用の削減に繋がります。これは、原子力発電の経済性を高める上で、非常に重要な要素となります。地球環境への負荷を低減しながら、より経済的なエネルギー源として、ACR-700は大きな期待を寄せられています。
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ハルデン炉:世界の原子力研究を支える

ノルウェー南東部のハルデンという町は、風光明媚な自然に囲まれた静かな場所です。その町の郊外、堅固な岩山を深く掘り進んだ先に、ハルデン沸騰水型炉(HBWR)と呼ばれる特別な原子炉が設置されています。この原子炉は、家庭に電気を送るためのものではなく、原子力燃料の安全性と性能を徹底的に試験するために建設された、いわば実験専用の炉です。この原子炉は、沸騰水型炉という形式に分類されます。一般的な沸騰水型炉は軽水を減速材と冷却材に用いますが、HBWRは重水を使用している点が大きな特徴です。重水は普通の水よりも中性子を減速させる能力が高いため、より効率的に核分裂反応を制御することができます。原子炉の熱出力は最大25メガワットで、これは比較的小規模な原子炉と言えます。冷却材の圧力は3.4メガパスカル、温度は240度で運転されています。これらの数値は、原子炉内での熱の発生と移動を精密に制御するために設定されています。HBWRの最も特筆すべき点は、その設置場所です。頑丈な岩盤の中に炉が埋め込まれているため、地震や外部からの衝撃に対して非常に高い安全性を誇ります。万が一の事故が発生した場合でも、岩盤が天然の防壁となり、放射性物質の外部への漏えいを最小限に抑えることができます。さらに、原子炉自体の設計も独特で、燃料集合体の挙動を詳細に観察できるよう工夫されています。これらの特徴により、HBWRは世界中の原子力研究者から注目を集め、燃料の安全性向上に大きく貢献しています。HBWRは、原子力技術の未来を切り開くための、重要な役割を担っていると言えるでしょう。
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原子炉:エネルギー源の核心

原子炉とは、核分裂連鎖反応を人工的に制御し、持続的に発生させる装置のことです。この装置の中では、ウランやプルトニウムといった核燃料物質が燃料として使われ、莫大なエネルギーを生み出します。ウランには、天然に存在するものと、人工的に濃縮した濃縮ウランの二種類があり、用途に応じて使い分けられています。原子炉の心臓部では、ウランやプルトニウムの原子核が中性子と衝突することで核分裂を起こし、莫大なエネルギーと新たな中性子を放出します。この新たに放出された中性子が、さらに他の原子核と衝突して核分裂を起こすことで、連鎖的に反応が続いていきます。この連鎖反応を制御するのが、制御棒と呼ばれるものです。制御棒は中性子を吸収する物質でできており、原子炉の中に挿入したり引き抜いたりすることで、核分裂の速度、すなわち原子炉の出力を調整しています。原子炉の運転を停止する際にも、この制御棒を炉心に完全に挿入することで、連鎖反応を停止させます。これにより、原子炉を安全に制御することが可能となります。原子炉が生み出す莫大なエネルギーは、発電に利用されることが最もよく知られています。火力発電のように燃料を燃やす必要がなく、二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策としても重要な役割を担っています。さらに、原子炉は発電以外にも、放射性同位元素の製造や、材料の分析、中性子を利用した医療など、様々な分野で活用されています。原子炉は、私たちの生活を支える重要な技術であり、その安全性は常に最優先事項とされ、厳格な管理体制の下で運転されています。
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原子力発電:未来への展望

原子力発電は、ウランやプルトニウムといった原子核燃料を利用した発電方法です。これらの燃料は、原子核が分裂する際に莫大な熱エネルギーを放出する性質を持っています。この熱を利用して水を沸騰させ、発生した蒸気でタービンを回し、発電機を回転させることで電気を生み出します。火力発電のように石炭や石油などの化石燃料を燃やす必要がないため、発電時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出しないことが大きな特徴です。地球温暖化への対策が急務となる現代において、二酸化炭素の排出量を抑えることは大変重要です。その点で、原子力発電は将来に向けて欠かせない大切な電力源として期待されています。原子力発電の燃料となるウランは、少量でも多くのエネルギーを生み出すことができます。これは、化石燃料に比べて輸送や保管の手間が省け、場所も取らないという利点につながります。エネルギーを安定して確保するという点でも、原子力発電は優れた特性を持っています。また、ウランは化石燃料のように国際的な価格変動の影響を受けにくいという経済的な利点もあります。燃料費の変動が少ないことは、電気料金の安定につながり、家計や企業の負担軽減に役立ちます。さらに、将来の実用化が期待されている高速増殖炉は、ウラン資源をより効率的に利用することを可能にします。高速増殖炉は、燃料としてプルトニウムを使用するだけでなく、運転中にウランからプルトニウムを生成することもできるため、ウラン資源の有効活用につながり、資源の枯渇に対する心配を減らすことができると考えられています。このように、原子力発電は地球環境保護とエネルギーの安定供給に大きく貢献する可能性を秘めた発電方法です。
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原子力発電と燃料交換計画

原子力発電所は、ウランという物質を燃料として電気を作っています。このウランは、原子炉という特別な装置の中で核分裂という反応を起こし、膨大な熱を生み出します。この熱を使って水を沸騰させ、発生した蒸気の力でタービンという羽根車を回し、発電機を動かして電気を発生させるのです。この仕組みは、火力発電所が石炭や石油を燃やして熱を作り、電気を作るのと似ています。しかし、ウラン燃料は使い続けると、核分裂を起こす物質が少しずつ減っていきます。これは、ろうそくが燃え続けると短くなっていくのと同じです。ウラン燃料の中の核分裂を起こす物質が減ると、核分裂反応の回数が減り、発生する熱の量も少なくなります。結果として、発電の効率が落ちてしまうのです。さらに、核分裂反応によって、核分裂生成物と呼ばれる物質が生まれます。これは、ろうそくが燃えた後に残る燃えかすのようなものです。この核分裂生成物が原子炉内に溜まっていくと、核分裂反応の邪魔をするようになり、これもまた発電効率を低下させる原因となります。このような理由から、原子力発電所では定期的に原子炉の中の燃料を新しいものと交換する必要があるのです。これは、自動車のガソリンがなくなったら、ガソリンスタンドで燃料を補給するのと同じです。燃料がなければ車は走れません。原子力発電所も、燃料を交換しなければ十分な電力を供給することができなくなってしまうのです。
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圧力管集合体:原子炉の心臓部

圧力管集合体は、新型転換炉(ATR)や黒鉛減速軽水冷却型炉(RBMK)といった原子炉の心臓部と言える重要な構造物です。これらの原子炉は、他の原子炉とは異なり、燃料集合体を格納する圧力管と呼ばれる管が多数配置されています。この圧力管と、それに関連する様々な部品をまとめて、圧力管集合体と呼びます。圧力管の主な役割は、燃料から発生する熱を冷却材に伝えることです。原子炉の燃料は核分裂反応によって高温になります。この熱を効率的に除去しなければ、燃料が溶けてしまい、重大事故につながる可能性があります。そこで、圧力管の中に冷却材を流し、燃料から発生した熱を吸収させます。冷却材は加熱されると蒸気となり、タービンを回し発電機を駆動します。この一連の過程において、圧力管は熱の伝達という極めて重要な役割を担っているのです。圧力管内は高温高圧の環境となるため、圧力管には高い耐久性が求められます。そのため、ジルコニウム合金などの特殊な材料が用いられています。ジルコニウム合金は、高温高圧に耐えるだけでなく、中性子を吸収しにくいという特性も持っています。中性子は核分裂反応に欠かせない存在であり、中性子の吸収が少ないほど効率的な反応を維持できます。さらに、圧力管集合体には、冷却材の漏れを防ぐためのシール機構も備わっています。冷却材が漏れると、原子炉の冷却能力が低下し、燃料の温度上昇につながる恐れがあります。シール機構は、このような事態を防ぐための安全装置として重要な役割を担っています。また、燃料交換をスムーズに行うための装置も含まれています。原子炉の燃料は定期的に交換する必要があるため、燃料交換を容易にする装置は、原子炉の運転効率を高める上で不可欠です。このように、圧力管、シール機構、燃料交換装置など、様々な部品が一体となって機能することで、圧力管集合体は原子炉の安全かつ安定な運転を支えています。
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圧力管型原子炉の仕組みと利点

圧力管型原子炉は、原子力発電において独自の設計を持つ原子炉です。最大の特徴は減速材と冷却材を別々に選べる点にあります。原子炉内では、ウランなどの核燃料が核分裂反応を起こし、莫大な熱と高速中性子を発生させます。この高速中性子はそのままでは次の核分裂反応を起こしにくいため、速度を落とす必要があります。この役割を担うのが減速材です。減速材は中性子の速度を適度に下げ、連鎖反応を維持する重要な役割を果たします。一方、冷却材は発生した熱を炉心から運び出し、発電に利用するための蒸気を発生させる役割を担います。一般的な原子炉では、減速材と冷却材を兼ねる物質を用いることが多いですが、圧力管型原子炉ではこれらを別々に選択できます。この設計の利点は原子炉の運転の柔軟性を高めることにあります。それぞれの目的に最適な物質を選べるため、効率的な運転と多様な燃料の利用を可能にします。例えば、減速材に中性子の吸収が少ない重水を、冷却材には入手しやすく熱伝導率の良い軽水を用いることで、天然ウランを燃料として利用できるようになります。これは、濃縮ウランのような高価な燃料を必要としないため、燃料コストの削減に繋がります。圧力管型原子炉にはいくつかの種類があります。重水減速軽水冷却炉は、減速材に重水、冷却材に軽水を使用するタイプで、新型転換炉ふげんがこれに該当します。重水減速重水冷却炉は、減速材と冷却材の両方に重水を使用するタイプで、カナダで開発されたCANDU炉が代表例です。また、黒鉛減速軽水冷却炉は、減速材に黒鉛、冷却材に軽水を使用するタイプで、旧ソ連で開発されたRBMK炉がこれに該当します。これらの原子炉は、それぞれ異なる特性と利点を持っており、世界の様々な地域で活躍しています。
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圧力管:原子炉の心臓部

原子炉の核心部には、燃料集合体と呼ばれる核燃料の束があり、ここで核分裂反応が起きて莫大な熱が発生します。この熱を運び出すのが冷却材の役割であり、高温高圧の冷却材を閉じ込めて燃料集合体から熱を奪い、蒸気を発生させるために必要なのが圧力管です。圧力管は原子炉の安全運転に欠かせない重要な部品と言えるでしょう。圧力管の中を流れる冷却材は、非常に高い圧力と温度になっています。この過酷な環境に耐えられるよう、圧力管には特殊な合金が用いられています。例えば、新型転換炉「ふげん」で採用されたジルコニウム・ニオブ合金は、それぞれの金属の特性を活かした組み合わせです。ジルコニウムは中性子をあまり吸収しない性質があり、核分裂反応を阻害せずに熱を効率よく取り出せます。一方、ニオブはジルコニウムの強度を高める役割を担い、高温高圧の冷却材に耐える頑丈な圧力管を作り出します。このように、圧力管の材質は原子炉の性能に大きな影響を与えます。中性子を吸収しにくい材料を使うことで、核燃料の消費を抑え、より多くのエネルギーを生み出すことができます。また、高い強度を持つ材料は、原子炉の安全性を高める上でも重要です。圧力管が破損すると、高温高圧の冷却材が漏れ出し、重大事故につながる可能性があります。そのため、圧力管には高い信頼性が求められ、製造過程における厳密な品質管理や、運転中の定期的な検査などが欠かせません。圧力管の材質選定は、原子炉の設計において重要な要素であり、安全性と効率性を両立させるための高度な技術が求められています。
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熱中性子と原子炉

中性子は、原子核を構成する基本的な粒子のひとつで、電気的な性質を持たないため、物質の中を自由に動き回ることができます。この中性子のうち、特に運動エネルギーが低いものを熱中性子と呼びます。中性子は原子核と衝突することでエネルギーを失っていきますが、高速で飛び回る中性子も、物質の中で何度も衝突を繰り返すうちに、ついには周りの原子や分子の熱運動と同じくらいのエネルギーレベルに落ち着きます。この状態になった中性子が、まさに熱中性子なのです。熱中性子のエネルギーは、およそ0.025電子ボルトと非常に小さく、室温の空気中を漂う塵の動きに例えることができます。まるで、物質の中を静かに漂っているかのような穏やかな存在です。しかし、この穏やかさこそが、原子炉における核分裂反応の制御にとって非常に重要なのです。原子炉では、ウランなどの核分裂しやすい物質に中性子を衝突させることで核分裂反応を起こし、莫大なエネルギーを生み出します。この時、熱中性子はウランなどの原子核に捕獲されやすく、効率的に核分裂反応を引き起こすことができます。高速中性子は原子核に捕獲されにくいため、核分裂を起こすためには中性子の速度を落とす、つまり熱中性子に変える必要があります。そのため、原子炉には減速材と呼ばれる物質が用いられています。減速材は中性子と衝突しやすく、かつ中性子を吸収しにくい性質を持っています。具体的には水や黒鉛などが使われ、これら減速材の中で中性子は衝突を繰り返し、速度を落として熱中性子へと変化していきます。このようにして生まれた熱中性子を利用することで、原子炉内の核分裂反応を安定して制御することが可能になるのです。