術中照射

記事数:(2)

その他

一回照射:がん治療におけるその役割

一回照射とは、放射線治療の一つの方法で、病巣に一度だけ放射線を照射する治療法です。複数回に分けて照射する分割照射とは異なり、一回で必要な放射線量を全て照射します。一回照射の最大の利点は、治療期間を大幅に短縮できることです。一回の通院で治療が完了するため、患者さんの負担を軽減し、通院にかかる時間や費用を抑えることができます。これは、高齢者や体力が低下している患者さん、遠方から通院する患者さんにとって大きなメリットとなります。がん細胞を死滅させるためには、ある程度の放射線量が必要です。分割照射では、この必要な線量を複数回に分けて照射することで、正常組織への影響を抑えながら、がん細胞への効果を高めます。一方、一回照射では、一度に高線量の放射線を照射するため、がん細胞を効果的に死滅させることができます。しかし、高線量の放射線を一度に照射すると、周囲の正常な組織にも少なからず影響を与える可能性があります。皮膚の炎症や粘膜の損傷、臓器の機能低下といった副作用が生じるリスクがあるため、治療対象や病巣の部位、大きさなどに応じて慎重に判断する必要があります。一回照射は、病巣が小さく、周囲の正常組織への影響が少ない場合に適しています。例えば、皮膚がんの一種であるケロイドや血管腫、骨の良性腫瘍などに対して用いられます。また、手術が困難な場合や、患者さんの全身状態が分割照射に耐えられない場合にも、選択肢の一つとして検討されます。ただし、がんの種類や進行度によっては、分割照射の方が適している場合もあります。そのため、医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。
その他

開創照射:がん治療の最前線

開創照射とは、手術中にがん病巣へ直接放射線をあてる治療法のことです。別名、術中照射とも呼ばれ、開腹手術や開胸手術を行い、がん病巣を露出させた状態で、専用の照射装置を使ってピンポイントで放射線をあてます。従来の放射線治療のように体の外から照射するのではなく、病巣に直接照射することで、周りの正常な組織への影響を最小限に抑えながら、高い放射線の量をがん病巣に集中させることができます。体外から照射する従来の方法では、放射線が皮膚や筋肉、骨などを通り抜けてがんに到達するため、どうしても周りの組織への負担が大きくなってしまいます。開創照射では、がん病巣を直接狙い撃ちできるため、周りの組織への影響を大幅に減らすことができます。また、高い線量をピンポイントで照射できるため、がん細胞を効果的に死滅させ、再発のリスクを減らす効果も期待できます。これは、がんの再発を防ぐ上で非常に重要な点です。この治療法は、手術で全てのがん組織を取り除くのが難しい場合や、目に見えないほど小さな転移病巣が疑われる場合に特に有効です。例えば、がんが重要な臓器に近接している場合、全てを取り除こうとすると臓器の機能を損なう恐れがあります。このような場合、開創照射は、残存するがん細胞を死滅させるための有効な手段となります。また、手術中に肉眼では確認できない小さな転移病巣が疑われる場合にも、開創照射を行うことで、これらの病巣を叩き、再発を予防することができます。このように、開創照射は、がん治療において重要な役割を担っています。