その他 ガンマナイフ:放射線治療の革新
ガンマナイフは、脳の病気を治療する際にメスを使わずに、放射線の一種であるガンマ線を病変部に集中して照射する、高度な医療機器です。まるで脳にメスを入れる外科手術のような効果がありながら、実際に頭を開く必要がないため、「ナイフ」という名前がついています。この画期的な治療法は、1951年にスウェーデンの脳外科医であるラース・レクセル氏によって考案されました。ガンマナイフは、コバルト60と呼ばれる放射性同位元素から出るガンマ線を、201個の小さな穴から正確に病変部に集中させます。それぞれのガンマ線は弱い力しか持ちませんが、201方向から一点に集中して照射されることで、病変部だけを効果的に破壊することができるのです。周囲の正常な組織への影響は最小限に抑えられ、開頭手術に比べて身体への負担がはるかに軽いことが大きな利点です。ガンマナイフは、脳腫瘍、血管奇形、三叉神経痛などの病気の治療に用いられています。従来、これらの病気の治療には開頭手術が必要でしたが、ガンマナイフの登場によって、入院期間の短縮、患者の負担軽減といった大きな進歩がもたらされました。世界中で急速に普及し、日本では1990年に東京大学に初めて導入されました。2002年6月時点では、国内で37台、世界では156台が稼働し、世界中で18万件を超える治療が行われてきました。現在もなお、多くの患者に低侵襲で効果的な治療を提供し続けています。
