組織・期間 原子力安全・保安院とその役割
高度経済成長期、我が国は目覚ましい経済発展を遂げました。この発展を支える大きな要因の一つが、安定したエネルギー供給であり、その中で原子力発電は重要な役割を担っていました。発電時に温室効果気体を出さない原子力発電は、地球環境への負荷が少ないという利点があり、将来のエネルギー源として大きな期待が寄せられていたのです。しかし、それと同時に原子力発電に伴う放射性物質の危険性に対する国民の不安や懸念も高まっていました。チェルノブイリ原子力発電所事故のような重大事故の発生は、原子力発電の安全性を改めて問い直すきっかけとなり、原子力発電所の建設や運転に対するより厳格な安全管理と透明性の高い規制を求める声が強まったのです。このような背景から、2001年1月、国民の安全を確保し、原子力発電に対する信頼を回復するために、資源エネルギー庁の外局として原子力安全・保安院(以下、保安院)が設立されました。保安院は、それまで複数の機関に分かれていた原子力安全に関する業務を一元的に担う機関として、安全基準の策定や原子力施設への検査、監督を一貫して行う体制を構築しました。これにより、原子力利用における安全規制の強化と効率化を図り、原子力産業の健全な発展と国民生活の安全確保の両立を目指しました。保安院は、資源エネルギー庁の傘下機関として活動する一方で、原子力安全委員会とも連携を取りました。原子力安全委員会は、原子力安全に関する専門的な立場から保安院の活動を監視し、安全確保のための提言を行う役割を担っていました。このように、保安院は、委員会からの独立性を保ちつつ、専門家の意見を尊重しながら、より安全で安心な原子力利用の推進に尽力しました。
