原子力発電 格子間原子と物質の変化
物質を構成する原子は、規則正しく並んで結晶構造を作っています。しかし、理想的な結晶構造とは異なり、現実の物質には原子の配列の乱れ、つまり格子欠陥が存在します。この格子欠陥は、物質の様々な性質に大きな影響を与えます。格子欠陥の種類は、その大きさや形状によって大きく分けて四つに分類できます。まず、原子一つ分程度の大きさの欠陥である点欠陥があります。点欠陥の代表的な例としては、本来原子があるべき場所に原子が存在しない原子空孔と、本来原子があってはいけない格子間の場所に原子が入り込んだ格子間原子が挙げられます。これらの点欠陥は、物質の拡散現象や電気伝導などに影響を与えます。例えば、金属結晶中に格子間原子が入り込むと、結晶格子が歪み、金属の強度や硬さが変化します。また、原子空孔は原子の移動を助ける役割を果たし、拡散現象を促進します。次に、線状に原子の配列の乱れが生じた線欠陥、別名転位と呼ばれる欠陥があります。転位は、らせん転位と刃状転位の二種類に分類されます。これらの転位は結晶の塑性変形に大きく関わっています。具体的には、転位の存在により、金属材料などは小さな力で変形しやすくなります。三つ目は、平面状に広がる欠陥である面欠陥です。面欠陥の代表的な例は、結晶粒界です。多結晶材料は、大きさや方向の異なる小さな結晶の集合体であり、それぞれの結晶の境界面を結晶粒界といいます。結晶粒界は原子の配列が乱れた領域であるため、物質の強度や電気伝導度などに影響を与えます。最後に、体積欠陥と呼ばれる三次元的な欠陥があります。体積欠陥は、空洞や析出物など、比較的大きな欠陥を含みます。例えば、材料中に空洞が存在すると、材料の強度が低下する原因となります。また、異なる相が材料中に析出することで、材料の特性が変化することもあります。
