原子力発電 黒鉛:原子力の要
黒鉛は、炭素原子だけで構成された物質で、その独特な結晶構造から様々な特性を持つ興味深い素材です。炭素原子が六角形に結びつき、まるで網の目のように平面状に広がった層が、何層も重なり合った構造をしています。この層状構造が、黒鉛の持つ様々な特性の鍵を握っています。それぞれの層の中では炭素原子同士の結合は非常に強いのですが、層と層の間は弱い力でしか結びついていません。そのため、層と層は互いに滑りやすく、これが黒鉛の柔らかさ、もろさ、そして鉛筆の芯として紙に字を書くことができる理由となっています。鉛筆で書く時、この薄い層が剥がれ落ち、紙の上に付着することで黒い線を描くことができるのです。黒鉛は金属のような光沢を持っていることでも知られています。これは、黒鉛の層状構造の中に自由電子が存在し、光を反射するためです。この自由電子のおかげで、黒鉛は電気をよく通す性質も持っています。電気を通す性質は、電池や電子部品など、様々な用途で利用されています。また、黒鉛は熱にも強い性質を持っています。高い温度でも安定した構造を保つことができるため、耐火材料や高温炉の部品としても使われています。同じ炭素原子からできているダイヤモンドとは、全く異なる性質を持つことは大変興味深い点です。ダイヤモンドは炭素原子が三次元的に強く結びついた構造をしているため、非常に硬く、電気を通しません。このように、同じ元素からできていても、原子の並び方、つまり結晶構造が変わるだけで、全く異なる性質の物質になることを示す好例です。黒鉛は、ありふれた元素である炭素が持つ無限の可能性を示す、魅力的な物質と言えるでしょう。
