原子力発電 核融合:中性粒子入射加熱とは
未来の夢のエネルギー源として、太陽と同じ仕組みで莫大なエネルギーを生み出す核融合発電に大きな期待が寄せられています。太陽の中心部では、軽い原子核同士が融合してより重い原子核に変わる核融合反応が起きており、この時に膨大なエネルギーが放出されます。この核融合反応を地上で人工的に再現することで、エネルギー問題の解決を期待できる夢の技術が核融合発電なのです。しかし、原子核同士はプラスの電荷を持っているため、互いに反発し合います。核融合を起こすためには、この反発力に打ち勝って原子核同士を近づける必要があります。そのためには、原子核を超高温状態にし、原子核の運動エネルギーを大きくする必要があるのです。この超高温状態を作り出す方法の一つが、中性粒子入射加熱という技術です。中性粒子入射加熱とは、水素などの原子を電離させてイオン化し、それを加速器で高速に加速した後に、再び中性化してプラズマの中心に打ち込むことで、プラズマを加熱する方法です。プラズマとは、原子核と電子がバラバラになった状態のことで、核融合反応を起こすためには、このプラズマを高温状態に保つ必要があります。高速の粒子はプラズマ中の原子、分子と衝突を繰り返すことで、その運動エネルギーをプラズマに与え、プラズマの温度を上昇させます。中性粒子を用いる理由は、プラズマ閉じ込めに使われる強力な磁場による影響を受けずに、プラズマの中心まで到達することができるからです。もし、電荷を持った粒子を打ち込むと、磁場の影響を受けてプラズマの中心まで到達することができません。このように、中性粒子入射加熱は、核融合発電を実現するための重要な加熱技術の一つです。核融合発電が実用化されれば、資源の枯渇の心配がなく、二酸化炭素も排出しない、環境に優しいクリーンなエネルギー源として、私たちの生活を支える基盤となることが期待されます。
