フレッティング腐食

記事数:(1)

原子力発電

原子炉とフレッティング腐食

フレッティング腐食とは、接触している二つの金属部品が微小な振動や滑りを繰り返すことで発生する腐食現象です。この腐食は、一見すると静止しているように見える部分でも、実は目に見えないほどの小さな動きが繰り返されている場合に発生しやすいのです。例えば、振動する機械部品や、風や水の流れによってわずかに揺れ動く構造物などで見られます。フレッティング腐食のメカニズムは、まず接触している金属表面に薄い酸化皮膜が形成されることから始まります。この酸化皮膜は通常、金属を保護する役割を果たしますが、微小な振動や滑りが繰り返されると、この保護膜が破壊されてしまいます。すると、その下の新しい金属表面が露出して、再び酸化皮膜が形成されます。この破壊と再生のサイクルが繰り返されることで、金属は徐々に摩耗し、腐食が進行していくのです。原子力発電所の燃料棒は、フレッティング腐食が問題となる代表的な例です。燃料棒は、高速で流れる冷却水によって常に微小な振動にさらされています。この振動がフレッティング腐食を引き起こし、燃料棒の健全性を損なう可能性があるため、厳密な管理が必要です。フレッティング腐食は、接触面で発生するため、目視での確認が難しく、発見が遅れるケースが多いです。また、初期段階では目立った損傷が見られないため、見過ごされることもあります。しかし、長期間にわたって放置すると、深刻な損傷につながり、機器の故障や事故の原因となる可能性があります。そのため、フレッティング腐食が発生しやすい環境では、定期的な点検や適切な対策が必要不可欠です。対策としては、接触面に潤滑油を塗布して摩擦を減らす、振動を抑制する、あるいは、より耐食性の高い材料を使用するなどの方法があります。