原子力発電 ゲルマニウム検出器:その仕組みと利点
物質には、電気をよく通すもの、全く通さないもの、そしてその中間の性質を持つものがあります。この中間の性質を持つものを半導体と呼びます。半導体は、特定の条件下で電気を流し、別の条件下では電気を流さないという、特異な性質を持っています。この性質を利用して、様々な電子部品や、放射線を検出する装置が作られています。半導体の中には、電気を運ぶ担体(キャリア)が少ない領域を作り出すことができます。この領域を空乏層と呼びます。空乏層は、言わば電気の流れにくい砂漠のような領域です。ここに放射線が入射すると、面白い現象が起きます。放射線は目に見えないエネルギーの塊ですが、物質にぶつかると、物質を構成する原子にエネルギーを与えます。すると、原子の中に束縛されていた電子が飛び出し、自由電子となります。電子が飛び出した後の原子は、正の電荷を帯びた状態、つまり正孔と呼ばれる状態になります。このように、放射線によって物質中に正と負の電荷の対が生まれることを電離と言います。空乏層で生まれた自由電子と正孔は、空乏層にかかっている電場によって引き寄せられ、移動を始めます。電子はプラスの方向へ、正孔はマイナスの方向へ移動することで、微弱な電流が発生します。この電流は、放射線が入射した証です。この微弱な電流を検出することで、放射線の量やエネルギーを知ることができます。これは、電離箱と呼ばれる放射線検出器と同じ原理です。電離箱は気体の中で電離を起こして放射線を検出しますが、半導体検出器は固体の中で電離を起こして放射線を検出します。半導体検出器は、電離箱に比べて小型で、感度も高いという利点があります。そのため、医療機器や科学計測機器など、様々な分野で利用されています。例えば、X線撮影装置や、宇宙探査機に搭載される放射線測定器などにも、半導体検出器が活用されています。
