原子力発電 中性子線:その特性と応用
中性子線とは、原子の中心である原子核を構成する素粒子の一つ、中性子がまっすぐな方向に移動している状態のことを指します。この中性子は、陽子とともに原子核を構成しており、電気的な性質を持たないことが大きな特徴です。原子核の外に出た中性子は、通常、様々な方向に散らばって動き回っています。広い意味では、このような状態も中性子線と呼ぶことがありますが、一般的には、がん治療や物質の内部を壊さずに検査する非破壊検査などに使われる、運動方向が揃えられた中性子の流れのことを指します。中性子は電気を帯びていないため、磁石の力、つまり磁場の影響を受けません。そのため、磁石を使って中性子の進む向きを変えることはできません。では、どのようにして中性子線を一方向に揃えるのでしょうか。そのために使われるのが、コリメータと呼ばれる特殊な装置です。この装置は、中性子を吸収する物質を内壁に貼った筒状の形をしています。中性子は筒の中を通る際に、壁にぶつかって吸収されます。まっすぐ進んでいる中性子だけが筒の出口から出ていくため、特定の方向に絞り込まれた中性子線を作り出すことができます。目的によって様々な大きさや材質のコリメータを使い分けることで、利用目的に合わせたビーム状の中性子線を作り出せるのです。この中性子線を作り出す方法には、主に原子炉と加速器という二つの方法があります。原子炉では、ウランなどの原子核が分裂する際に発生する中性子を集めて利用します。一方、加速器では、原子核に高いエネルギーの粒子を衝突させることで中性子を発生させます。このようにして作り出された中性子線は、医療、工業、学術研究など、様々な分野で役立てています。
